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“あ、言い忘れてた。一番大事なコト”

大まかな説明を受け、ちょうど誰かが帰ってきたのを境に話が終わった後、
その妖精、翡翠は言った。


“心のカケラを集める期間は10ヶ月!
その期間内ならカケラをいくつ集めてもいいけど、最低でも喜怒哀楽の4つのカケラが必要なの”
「喜怒哀楽・・・人の基本的な感情だな」
“そ。10ヶ月経ってもその4つが無かったりしたら―・・・”
「生まれ変われない・・・ってことだな」
“そゆこと。まぁ人には、だから、他の何かに生まれ変わるかもだけど”

そう言うと、ひらひらと部屋を飛び回り始める。
その様子から分かるように、翡翠はとても活発な妖精のようだ。
何に対しても笑顔。
全く・・・そんなに楽しいものなのかと思わせる。

翡翠が言っていた10ヶ月という期間。
これはおそらく、人が生まれるまでに約10ヶ月かかることから来てるのだと思った。


かさこそ・・・・・・


急に後ろに現れた音。
振り向いて見れば、翡翠がなにやらいじくっている。

「お、おい!勝手に触るなって!」
翡翠をつかもうとした。が、小さな体をうまく使いひらりと軽やかに逃げる。

“♪ベッドの下には秘密がいっぱい~?♬”
何やら訳が分からない歌を歌いながら、ベッドの下へともぐって行く。
「おいっ!じっとしてろって!」
選択肢・・・・絶対間違った気がする・・・

何が運がいいだ。
まるで赤ん坊の面倒をみているみたいじゃないか・・・
お互いに言っている言葉が分かるからまだいいけど・・・・っ
って、今みたいに意思疎通が出来てないんじゃ意味ない・・・・・・・

“なーんだ、何もないじゃない。ちょっと期待してたのに・・・・あ”

そのちょっとした油断のすきに、ぎゅっと翡翠をつかみ、捕らえた。

「少しはじっとしてろっていうのが分からないのかぁ・・・・」
“あ、あはは・・・・・那智・・・目がマジになってる”
「分かったか・・・?」
“むー、ちょっとつまらない気が―”
「分かったか?」
“はい”

翡翠はためらうことなく、素直に返事を返した。

だがこれからが大変だ。
こっちが軽く言っただけじゃダメ。
もっと押しを強く言って聞かせないと・・・か。


と、その時。
軽快に階段を上がってくる音、そして声がした。

「那智ー?いるのー?」

あ、そういえば・・・・
翡翠の声は俺しか聞こえないから、他の人には俺が1人でしゃべっているように聞こえるんだった・・・

“那智ってば変な人ー?”
お前のせいだろが・・・と声に出して言いたかったが、何とか思いとどまる。

とにかくごまかさないと・・・っ!


コンコン


「那智ー?」
言いながら入ってきたのは、俺の1卵生双生児の妹、紗智だった。

肩よりやや伸びた髪。
俺よりやや低い背。
それ以外は俺とそんなに変わりない。
まぁ見た目は、だが。

「あー・・・そうだな。それじゃあな」
「なんだ、電話してたの?してもいいけど、下まで声聞こえてたよ?」
「悪い悪い。気をつけるって」
“わー!那智にそっくりーー!”
「げっ」
「ん?」

紗智を見たとたん、翡翠は紗智の周りを飛び始めた。

“すごいそっくり!双子?うん、双子っぽい!
那智が髪を伸ばしたらこうになるのね♪”

き・・・気になる。けど、俺しか見えてない見えてない・・・・・・

「??何?」
「い、いやさ・・・そういえば明日までの課題があったなーって・・・・」

苦しい言い訳。

「ふ~ん。そんなんだから、成績が上がらないんじゃないの?」
「別に今のままで十分」
「そ。それじゃ、うるさくしてないでよ。新作のCD聴くんだから」

そう言うと紗智は部屋から出て行った。

・・・というか・・・・・・・

“そっくりだったねー!あれって、1卵生って言うんだよね?”
「おまえなー・・・あまり動き回るなよ・・・
俺しか見えてないんだから、気になってしょうがない・・・」

さっきのこともあるので、声を少し小さくして話す。

“んー・・・でも少しぐらい・・・”
「本気で心のカケラを集めたいと思ってるんだよな?
・・・・・・分 か っ た か ?」
“はは・・・また那智の目がマジになってる・・・・・
分かりました。ハメをはずし過ぎないようにします”
「・・・頼むよ」

そう答えると、翡翠はまた笑顔になった。

これで分かってくれるといいんだけど・・・


すー・・・・・


静かになった部屋に、小さく細い音が響いた。

一体何の音かとその方に目をやると、さっきまで元気よく飛んでいた翡翠が、俺のベッドで気持ちよさそうに寝ている。
その寝顔は、本当に赤ん坊のように健やかで、あどけないものだった。
まったく・・・・マイペースだな。

那智は、翡翠を見守るような優しい笑顔を見せた。

彼女について、まだまだ知らないことが多すぎる。
でも新しく知ることが、少し、楽しみになってきた。

 



大まかな設定は分かってもらえたでしょうかーーー??
次回は違う妖精が出てくる予定でっす。
さて、次の更新は
Moon~feelings~です。
やっばーー、これってば難しいのよーーー・・・・
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