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オリジナル小説を書いてます。更新頻度は低め…
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「・・・?どうしたの?」

少しの間、自分は固まっていたらしい。
彼女の声で、まるで現実に帰ってきたかのような感覚に陥った。

「・・・どうかしてる」
「え?」
「僕には何もない。名前も、過去も、感情さえも」

そうだ。ありえないんだ。
からっぽだから、何でここにいるか分からない。


「感情がないっていうのは絶対に違う・・・!」


彼女は、怒っているような口調で言った。
その勢いに、思わず声が出せなかった。

「何でそう言えるか分かる?
あなたに感情があるから、こうして私と会話してる。
本当に感情がないのなら・・・・会話なんて成立しないはずなんだよ?」


彼女の声が震えている。

まるで“本当に感情のない人”を知っているかのような口ぶりだ。


「私と話していて思ったでしょ?
誰だ?とか、自分は何もないやつだって。
どんなことでも、“思う”っていうことは感情があるからこそ出来るものなんだよ?」


白く、透き通った彼女の頬に、一筋の涙。
過去を、何かを、誰かを想って泣いているのだろうか。

それともそれらを想いながらも、自分のために泣いてくれているのだろうか・・・


何もかも分からなかった、けれども、自分の中の何かが動いた気がした。
そして自然と、自分の手が彼女の頬に向かった。
そっと、月明かりにきらめく一粒を拭う。


「・・・っ!
・・・・・・・ありがとう」


彼女は自分が差し出した手を優しく握り、微笑んだ。


「ほら・・・・ちゃんと感情がある。この手が、その証・・・」



彼女の手は、温かかった。



“思う”ということは、感情がないと出来ないものでして・・・・とかなんとか(何)
あ、気づいている人もいると思いますが、この小説の順番(?)は月の満ち欠けの名前から取っています。最初の朔月は新月のことですよー
なので、その月の意味と共に物語りも進む・・・・予定(汗)
調べればこの小説が何回で終わるか分かっちゃったりー。
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